第3章
便失禁診療の概論
4. 評価方法

便失禁の評価尺度　Grading&Scoring

便失禁の重症度やそれに伴うQOLの評価スコアの代表的なものは次の5つである。

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Kirwan 分類

Kirwan分類とは直腸癌術後の便失禁の程度をグレード分類したものである。

Grade 便失禁の程度
1 便失禁が全くない （Perfect continence）
2 ガス失禁のみ　（Cannot hold gas）
3 軽度の便失禁　（Occasional minor leak or Wear pads）
4 高度の便失禁　（Frequent major soiling）
5 ストーマを必要とする便失禁　（Colostomy）

( Kirwan WO et al: Br J Surg, 65: 695-698.1978 )

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Wexner スコア(0～20)
（Cleveland Clinic Florida Fecal Incontinence Score: CCFIS)

Wexnerスコアとは便失禁の程度を点数化したものである。

  • 数字が低いほど、便失禁が軽症であることを示す。
  • 便失禁症状の評価と同時に、QOLも評価する。
  全くない <1回/月 1回/月≥
<１回/週		 １回/週≥
<1回/日		 １回/日≥
固形便失禁 0 1 2 3 4
液状便失禁 0 1 2 3 4
ガス失禁 0 1 2 3 4
ナプキン着用 0 1 2 3 4
日常生活の
制限		 0 1 2 3 4

( Jorge JMN & Wexner SD: Dis Colon Rectum 36：77-97, 1993 )

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St Mark’s スコア (0 ～ 24)

St Mark’s スコアは、Wexnerスコアに切迫感に関する評価項目を加えたものである。

  全くない <1回/月 2回/月以上
1回/週未満		 1回/週以上
1回/日未満		 １回/日以上
固形便失禁 0 1 2 3 4
液状便失禁 0 1 2 3 4
ガス失禁 0 1 2 3 4
日常生活の
制限		 0 1 2 3 4
 いいえはい
ナプキン着用の
必要性		02
止痢薬の服用02
15分以上排便を我慢できない04

( Vaizey CJ et al: Gut 44:77-80, 1999 )

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Fecal Incontinence Severity Index
(FISI:0 ～ 61)

FISIとは、QOLを含まず症状のみを評価するスコアである。

  • 治療の有効性を判断する際に有用。
  • 症状によって点数に重みづけがされている。
患者の
評価		 全くない 1～3回
/月		 1回
/週		 ２回以上
/週		 １回
/日		 ２回以上
/日
固形便失禁 0 8 10 13 16 18
液状便失禁 0 8 10 13 17 19
粘性失禁 0 3 5 7 10 12
ガス失禁 0 4 6 8 11 12

( Rockwood TH et al: Dis Colon Rectum 42:1525-1532, 1999 )

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Fecal Incontinence Quality of Life Scale (FIQL)
American Society of Colon and Rectal Surgeons(ASCRS)
disease-specific quality of life questionnaire

FIQLとは便失禁に特化したQOLスコアである。

  • 29個の質問から構成される。
  • 各質問への回答によって1～6点の配点がされる。
  • QOLが高い方が、点数が高い。(平均：1 ～ 4.1点)
項目 項目数・平均点
生活スタイル 10個(平均：1-4点)
対処・日常行動 9個(平均：1-4点)
憂鬱・自己認識 7個(平均：1-4.4点)
羞恥心 3個(平均：1-4点)

また、妥当性の証明(Validation Study)がなされているFIQLとして日本語版(JFIQL)もある。

( Rockwood TH et al: DCR 43: 9-17, 2000 )

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